ミステリ亭 tama

当亭では、主にミステリ小説を蒐集しています。電話線が切断され、橋も落とされたようですので、お越しいただいた方はご自身で身をお守りください。

㊽異端の祝祭 芦花公園

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▶あらすじ

冴えない就職浪人生・島本笑美。失敗の原因は分かっている。彼女は生きている人間とそうでないものの区別がつかないのだ。ある日、笑美は何故か大手企業・モリヤ食品の青年社長に気に入られ内定を得る。だが研修で見たのは「ケエコオオ」と奇声を上げ這い回る人々だった―。一方、笑美の様子を心配した兄は心霊案件を請け負う佐々木事務所を訪れ・・・。ページを開いた瞬間、貴方はもう「取り込まれて」いる。民俗学カルトホラー!

 

 

(個人的な)点数 4/10

 

 

霊が見えてしまうことで、幼いころから孤独だった笑美は、大企業のモリヤ食品に思いがけず内定します。勤務初日に案内されたのは、体育館のような建物。そこで、行われていたのは、「兄弟」たちによる不気味な儀式。笑美はその異常さに危機感を覚える一方で、「社長」と呼ばれる謎の美少年・ヤンに惹きつけられていきます。

 

カルト、民俗学、ホラー、超能力・・・これらの要素がちょっとずつ混ざり合っており、どういう視点で読めばいいのか最後まで分かりませんでした。ホラーなのかなと思い読んでいると、「あれ?これただのカルト集団じゃない?」となるし、だからといってカルト小説として読んでいくと、超能力バトルが始まったり・・・。

「ホラーかと思えばミステリでした」というようなジャンルの転換が行われているわけでもなく、世界観が最後まで絞れませんでした。

カオスな分、得体のしれない怖さは十分感じられましたが。

ただ、儀式の内容やを言葉の言い回しを手掛かりに、ヤンたちの信仰対象を探っていく過程はおもしろかったです。

 

著者のデビュー作「ほねがらみ」を先に読んでおけば、作品の雰囲気も分かり、また違ったかもしれません。