ミステリ亭 tama

当亭では、主にミステリ小説を蒐集しています。電話線が切断され、橋も落とされたようですので、お越しいただいた方はご自身で身をお守りください。

㊸予言の島 澤村伊智

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▶あらすじ

瀬戸内海の霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が最後の予言を残した場所。二十年後<霊魂六つが冥府へ落つる>」という。天宮淳は幼馴染たちと興味本位で島を訪れるが、旅館は「ヒキタの怨霊が下りてくる」という意味不明な理由でキャンセルされていた。そして翌朝、滞在客の一人が遺体で見つかる。しかしこれは悲劇の序章に過ぎなった・・・。全ての謎が解けた時、あなたは必ず絶叫する。傑作ホラーミステリ!

 

 

(個人的な)点数 6/10

 

 

帯に書かれた初読はミステリ、二度目はホラーという言葉に惹かれて購入。

初読はホラー、二度目はミステリは読んだことがありますが、その逆ははじめて。わくわくしながら読み始めましたが、二度目はホラーホラーは、あくまで広義のホラーであり、思っていた感じとは違いました。

 

しかし、誇張気味のキャッチコピーを除けば、ホラーミステリとして十分楽しめました。怪異の真相は見事でしたし、ヒキタの怨霊が生まれた理由も、読者に対する皮肉が効いていて中々おもしろかったです。

 

澤村ホラーは、京極夏彦京極堂シリーズや、三津田信三の刀城言耶シリーズと同じ民俗学ホラーに位置しますが、それだけではなく、怪異を通して社会問題を取り上げるところに特徴があります。

本作のテーマは「言葉の呪い」。登場人物たちは、それぞれの呪いに囚われています。親の言葉や、上司の言葉、予言者の言葉・・・歪んだ言葉の呪いは、殺人事件をも引き起こしてしまうのです。