ミステリ亭 tama

当亭では、主にミステリ小説を蒐集しています。電話線が切断され、橋も落とされたようですので、お越しいただいた方はご自身で身をお守りください。

ミステリガイドブック

ミステリを読んでみたいけど、何から読めばいいのか分からない・・・

ミステリが好きだけど、有名どころは読んでしまった・・・

そんな方に、わたしが愛用しているミステリガイドブックを紹介します!

 

①東西ミステリーベスト100   文藝春秋

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日本推理作家協会、各大学のミステリークラブ、ミステリー愛好会SRの会、各地の読書会、国内外のミステリー通、総勢387人のアンケートを元に作られたミステリランキングが載っています。作品ごとにあらすじと簡単な解説もあり、非常に読みやすいです◎

おそらく、ミステリ界において最もメジャーなガイドブックであり、初心者にもマニアにもおススメできる1冊です! 

 

 

~おススメポイント~

★国内外のミステリが一冊に!

国内編と海外編で分かれているガイドブックが多い中、本作は一冊で国内外の一級ミステリをすべておさえることができます。

 

★過去のランキングと比較できる!

今回紹介しているのは2012年版ですが、実は1985年版が過去に出ています。

巻末に1985年版のランキングが紹介されているので、比較してみるとおもしろい!

横溝正史やクイーンのように、時代を超えて評価され続けている作品もあれば、山田風太郎のように、復刊されたことで順位があがった作品も。ミステリの歴史を感じることができます。

 

★101位以下の作品も紹介!

国内外のベスト100だけでもお腹いっぱいですが、親切なことに101位以下のランキングも載っています。(ただし、タイトルのみ)その中にも、おもしろい作品はたくさんありますよ。

 

*本作はわたしにとってバイブルです。ミステリ研を卒業するまでに国内ベスト100を読破することを目標にしていたのですが、残念ながら達成できず・・・(笑)残り12冊なんですが、ハードボイルドものなど苦手なジャンルばかり残しているので先は遠いです。ちなみに、最後まで残るのは小栗虫太郎黒死館殺人事件かなと予想しています(笑)

2012年版がでた9年前と今では、ミステリ界を担う作家さんの顔ぶれも変わってきていますが、今アンケートをとったらどんな結果になるのでしょうか・・・第3弾が出るのが待ち遠しいです。

 

 

 

②本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド 喜国雅彦国樹由香

 

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第17回本格ミステリ大賞を受賞しているミステリガイドブックです。

このガイドブックは、ランキングが載っているわけでもなければ、おススメのミステリを紹介しているわけでもありません。

ミステリオタクの坂東善博士がテーマに沿ったミステリを5~6冊紹介し、ミステリ初心者の女子高生りっちゃんがその中からグランプリを決めるというミステリ小説の試合形式になっています。

ガイドブックの中でも変化球なので、初心者よりは、マニアの方向けかもしれません。

 

 

~おススメポイント~

★試合形式という新しい形のガイドブック!

ミステリにはたくさんのくくりがあります。探偵小説、サスペンス、警察小説などジャンルのくくりもあれば、フレンチミステリ、中華ミステリなどの国によるくくりもあります。総合的なランキングではなく、テーマごとにグランプリを決めるというのが他にはない形で新鮮です。

 

★否定的な感想も書かれている!

ガイドブックって基本的に一押しの本を紹介するものなので、マイナスな評価ってあんまりないですよね。

しかし、このガイドブックでは、審査員のりっちゃんがめちゃくちゃ正直なんです(笑)古典ミステリに対して「退屈」とか「盛り上がりがなくてつまんない」とか言っちゃう。博士が自信をもって勧めた古典名作が、りっちゃんによってズタボロにダメ出しされるのはおもしろいです(笑)

そしてこれが評論家目線の批判ではなく、ミステリ初心者による素直な感想なので、非常に参考になります。

 

*東西ミステリーベスト100と比べると、ヴィンテージミステリや知名度の低い作品が多く紹介されています。わたしは本作のおかげで、JT・ロジャースの「赤い右手」と出会えました!(感謝!)

 

 

 

おまけ:

書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト2011-2020

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今年の5月26日に発売された出来立てほやほやのガイドブックです。

翻訳ミステリベストとある通り、海外ミステリのガイドブック。わたしは、海外ミステリを探すときは基本的に東西ミステリーベスト100を参考にしているのですが、あれは残念なことに2012年で時が止まってしまっています。そのため、2012年以降に出た海外ミステリについては疎く、このたび出版された本作を即買いしました。

本作は、「翻訳ミステリー大賞シンジゲート」というサイトの中で掲載されている、翻訳ミステリオタクの七福神たちが、一か月で読んだ海外ミステリの中でおもしろかったものを紹介する「書評七福神の今月の一冊」という連載を一冊にまとめたものです。

そのため、コピペ感があり少し読みにくいですが、ここ10年の海外ミステリの情勢を知ることができ、重宝しています。