⑤Another 綾辻行人
*ネタバレを含みます。
Anotherを初めて読んだのは、ちょうど10年くらい前だ。
当時、漫画化・アニメ化と世間はAnotherフィーバーだったのを覚えている。館シリーズで新本格の入り口に立ったばかりのわたしは、Anotherこそが綾辻さんの代表作だと言われているようで気に入らず、端的に言うとアンチAnother派だった。
昨年、Another2001が発売されたということで、復習しようと思い再読した。
朧げに覚えていたのは、階段から落ちたクラスメイトが悲惨な死に方をすること、死者が三神先生だったこと。
クラスに死者が紛れており、クラス関係者が次々死んでいくという設定は再読でも十分ハラハラした。
3年3組の呪いは、何者かによる作為ではなく【現象】であるため、論理で太刀打ちできるものではない。せいぜい出来るのは、不確かな対策だけ。死者が誰かという最大の謎も、鳴の【特殊能力】であっさり明らかとなる。
それゆえに、ミステリとして読むと物足りなく感じるだろう。
しかし、その分、三神先生=礼子さんという叙述トリックや、未咲と鳴は姉妹であるという事実など、読者を楽しませる技巧が凝らしてある。