ミステリ亭 tama

当亭では、主にミステリ小説を蒐集しています。電話線が切断され、橋も落とされたようですので、お越しいただいた方はご自身で身をお守りください。

54 夜の声 ウィリアム・ホープ・ホジスン

f:id:tamasan7:20211214220844j:plain

 

 

▶あらすじ

あのH・P・ラヴクラフトが多大な影響を受けた鬼才ホジスンは、異界への憧憬と恐怖を大海原に求めた。本書には、闇の海から聞こえる奇妙な声が、キノコに覆われたとある島の怪異を語る傑作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビに呑みこまれた廃船などにまつわる海洋奇譚全七編に、<カーナッキ>シリーズの先駆「水槽の恐怖」を収録した。

 

 

 

(個人的な)点数 8/10

 

 

 

バミューダ海域マリー・セレスト号の謎・・・大海原では説明のできない不思議なことがたくさん起こります。

本作は、海にまつわる怪異がつめこまれた怪奇短編集。船乗りだった作者の、海に対する畏怖の念が感じられる作品です。

 

表題作「夜の声」は、ただ怖いだけではなく、ストーリーテーリングが光る作品です。夜の海で、船乗りたちに語り掛けてくる奇妙な声。「声」が語るのは、ある男女が遭った世にも恐ろしい悲劇でした。

恐怖、憐憫、祈りと様々な感情が掻き立てられ、最後には虚しさが残ります。

 

「夜の声」とは対照的に、直接的な恐怖が描かれている作品も。未知の巨大生物が襲ってくる「熱帯の恐怖」や、カビに呑み込まれた船を描く「カビの船」は、大画面で見ているかのような迫力があり、非常にスリリングです。

 

本作はもともと、入手困難でしたが、今年復刊し簡単に手に入るようになりました。読めてよかったと思える作品です。

 

53 招かれざる客たちのビュッフェ クリスチアナ・ブランド 【古典ミステリフェア】

f:id:tamasan7:20211213224814j:plain

 

 

 


▶あらすじ

英国ミステリ史上、ひときわ異彩を放つ重鎮のブランド。本書には、その独特の調理法にもとづく16の逸品を収めた。コックリル警部登場の重厚な本格物「婚姻飛翔」、スリルに満ちた謎解きゲームの顛末を描く名作「ジェミニ―・クリケット事件」、あまりにもブラックなクリスマス・ストーリー「この家に祝福あれ」など、ミステリの神髄を伝える傑作短編集。

 

 

(個人的な)点数 8/10

 

 

昨年読んだブランドの「はなれわざ」が年間ベストにはいるくらいおもしろかったので、今回は傑作短編集と名高い本作をチョイスしてみました。

 

16篇が収録されていて、500ページ超えとボリューム満点。

前評判からハードルは上がっていましたが、驚くべきことに、16篇すべてが、おもしろかったです。

何が一番すごいって、それぞれが違ったテイストであること。短編集というと、同じような展開の話が収録されていることが多いですが、本作は、本格ミステリ、サスペンス、倒叙など、ジャンルが豊富で、一冊で様々な味が楽しめる贅沢な作品です。

 

 

数ある話のうち、特に印象的だった話を3つ紹介します。

 

①事件のあとに

舞台女優が殺される。警察を出迎えた関係者一座は、落としたはずの舞台メイクを再び施していた。彼らの真意とは?

 

本編は、コックリル警部が、過去に起こった事件の話を聞きながら、推理を再構築していく、いわゆる「回想の殺人」です。

正統派ミステリで、個性派揃いの話の中では、どちらかといえば地味な作品かもしれません。しかし、なぜ一座は再びメイクを施していたのか?というシンプルな謎と、くるりと反転する真相が鮮やかでした。

 

 

②この家に祝福あれ

路頭に迷っていた若い夫婦に、部屋を貸すことになった孤独な老女。夫婦に赤ん坊が生まれると、老女は赤ん坊をイエス・キリストだと崇めるようになり・・・。

 

赤ん坊に固執していく老女と、何を考えているのか分からない夫婦。薄気味悪い雰囲気が漂う本編には、静かな狂気に満ちています。予想もしないオチが待っており、苦い後味を残します。

 

 

③囁き

お嬢様のダフィは、従兄弟のサイモンを強引に誘い、いかがわしいバーを訪れる。そこで、男に襲われた彼女は、厳格な父親に真実を言えず、サイモンに襲われたと嘘をつく・・・。

 

甘やかされて育ったダフィの身勝手な嘘のせいで、事態は最悪の状況へ転んでいきます。小さな綻びから嘘がバレていき、ダフィが徐々に追い詰められていく過程は、スリルを感じる一方で、ざまあみろ!という快感もあります。

保身のことしか考えなかった彼女の末路とは。胸に鉛が残されたような読後感です。

 

 

 

52 八百万の死にざま ローレンス・ブロック 【古典ミステリフェア】

f:id:tamasan7:20211111231038j:plain

 

 

 

▶あらすじ

キムというコールガールが、足を洗いたいので代わりにヒモと話をつけてくれという。わたしが会ってみるとヒモは意外にもあっさりとキムの願いを受け入れてくれた。だが、その直後、キムがめった切りにされて殺された。容疑のかかるヒモの男から、わたしは真犯人探しを依頼されるが・・・マンハッタンのアル中探偵マット・スカダー登場。大都会の感傷と虚無を鮮やかな筆致で浮かび上がらせ私立探偵小説大賞を受賞した大作。

 

 

(個人的な)点数 8/10

 

 

みなさんはハードボイルドは好きですか?

私は、ミステリ研究会在籍中に、チャンドラーロスマクドナルドを読みましたが、【長いお別れ】【ウィチャリー家の女】【さむけ】も、不思議なことに何にも覚えていないのです。ミステリの中でも、ハードボイルドは最も苦手な分野かもしれません。

そんな私ですが、本作はなんとおもしろかった!

主人公のアル中探偵、マッド・スカダーがとてもいい味を出しています。無口で、感情を表に出さず、黙々と調査する姿はハードボイルド探偵そのものですが、本当はとても繊細。新聞を読めば、死亡記事ばかりが目について、世の不条理に苦しみます。

スマートに立ち回るかっこいいハードボイルド探偵、とは言えないかもしれませんが、犯罪や暴力が横行するマンハッタンの片隅で、必死に生きる彼の不器用さに惹かれます。

ハードボイルドの苦手なところは、主人公に感情移入できないところなんですが、本作では、スカダーの世の中に対する不満や葛藤、苦しみが痛いほど感じられました。

 

読み物としては、大きな盛り上がりがあるわけではなく、淡々と進みますが、心情描写が丁寧なので、退屈しません。ハードボイルドが苦手という方にもおススメできる一作です◎

 

 

 

 

 

以下、ネタバレ感想

 

キムの死は、スカダーにとって、これまで紙面で眺めてきた世の中の不条理そのものでした。

彼は、キム殺しの真相を暴くことで、罪なき者が殺されてゆく世の中を否定したかったのだと私は思います。

 

しかし、彼がたどり着いた真相は、それこそ紙面の死にふさわしい、くだらないものでした。

キムが殺された理由は、「連中がコロンビア人だったから」裏切り者への制裁として、家族や恋人を見せしめに殺すというコロンビア人のやり方のために、罪のないキムは死んだのです。

 

結局、彼は、世の中を否定することはできませんでした。むしろ、この事件を通して、非情な現実を受け入れざるを得なかった。

だからこそ、事件解決後、彼は酒を求めたのだと思います。

 

この事件をきっかけに、スカダ―は変わってしまうような気がします。新聞を読んでも、何も感じなくなるでしょう。そして、今までよりもずっと生きやすくなるでしょう。それを成長と呼ぶのか、順応と呼ぶのかは人それぞれですが、彼の不器用さが好きだった私にはどうしても挫折の物語に感じてしまうのです。

 

 

 

 

 

51 妖魔の森の家 ディクスン・カー 【古典ミステリフェア】

f:id:tamasan7:20211005214404j:plain

 

 

 

▶内容紹介

長編に劣らず短編においてもカーは数々の名作を書いているが、中でも「妖魔の森の家」1編は、彼の全作品を通じての白眉ともいうべき傑作である。発端の謎と意外な解決の合理性がみごとなバランスを示し、加うるに怪奇趣味の適切ないろどり、けだしポオ以降の短編推理小説史上のベストテンにはいる名品であろう。ほかに中短編4編を収録。解説=中島河太郎

 

 

▶収録作品

妖魔の森の家

軽率だった夜盗

ある密室

赤いカツラの手がかり

第三の銃弾

 

 

 

(個人的な)点数 9/10

 

 

 

最近ショックを受けたことがあります。

それは、年々、古典ミステリを読むことが減ってきているということ。

これはいかんと思い、【古典ミステリフェア】を開催することにしました(笑)

いつまで続くか分かりませんが、しばらくは古典ミステリを読んでいこうと思います。

 

記念すべき1作目は、ディクスン・カーです。

カーと言えば、長編のイメージがありますが、なにやら傑作と評判高い短編があるそうで・・・それが本作、【妖魔の森の家】です。

 

どの収録作品もおもしろかったのですが、特に印象深かった2編について紹介します。

 

 

 

妖魔の森の家

ヘンリー・メリヴェール卿は、3人の若者とともに、妖魔の森へピクニックへやってきた。そのうちの1人、ヴィッキーが森に建つ別荘の密閉された部屋から姿を消してしまう。実は、彼女は20年前にも、同じ部屋で姿を消しており・・・。

 

妖魔の森の家は、ぜひ解説まで読んでほしい作品です。

本編だけでも充分おもしろいのですが、解説を読むことで、隠されていた伏線の数々に気づかされ、ミステリとしてのレベルの高さを実感できます。

この「見えない伏線」こそが、本編の傑作たる所以なんですね。

読者に手掛かりを提示しながらも、簡単に真相にたどり着かせないために、一文一文に細心の注意が払われています。カーが、フェアプレイをいかに重要視したかが分かります。

ミステリとしての完成度の高さ、一度読んだら忘れられないショッキングなトリック。怪奇小説、ひいては密室の父の名にふさわしい作品でした。

 

 

 

第三の銃弾

密室で射殺された元判事の死体の傍らには、拳銃を握りしめた青年がたたずんでいた。その青年はかつて判事に極刑を命じられ、判事に復讐を誓っていた。誰もが犯人は明らかと思ったが、被害者を襲った凶弾は青年の銃から発射されたものではなかった・・・。

 

ハウダニットと、フーダニットの両方が光る秀逸な作品です。

数多くの密室を書いてきたカーですが、そのバラエティの豊かさには感心してしまいます。

本作の密室殺人でポイントとなるのは、人間の出入りではなく、3発の銃弾の出入りです。室内に残った銃弾の数と、放たれた銃弾の数が合わないという不思議な謎。間取り図とにらめっこしながら弾道を考えるのが楽しかったです。

人間の心理や先入観を逆手にとったトリックも見事でした。

フーダニットにおいても、カーのこだわりが見られます。【ミステリあるある】に対する皮肉を効かせた展開になっており、おもしろかったです。

 

 

 

 

 

㊿兇人邸の殺人 今村昌弘

f:id:tamasan7:20210916201240j:plain



 

▶あらすじ

廃墟テーマパークにそびえる「兇人邸」。斑目機関の研究資料を探し求めるグループとともに、深夜その奇怪な屋敷に侵入した葉村譲と剣崎比留子を待ち構えていたのは、無慈悲な首切り殺人鬼だった。逃げ惑う狂乱の一夜が明け、同行者が次々と首のない死体となって発見されるなか、比留子が行方不明に。さまざまな思惑を抱えた生存者たちは、この迷路のような屋敷から脱出の道を選べない。さらに、別の殺人者がいる可能性が浮上し・・・。葉村は比留子を見つけ出し、ともに謎を解いて生き延びることができるのか?!「屍人荘の殺人」の衝撃を凌駕するシリーズ第三弾。

 

 

 

(個人的な)点数 7/10

 

 

 

※ネタバレを含みます。

 

 

 

 

剣崎比留子シリーズといえば特殊設定ミステリ

今回は、首斬り巨人が出て来ます。

屋敷の中を徘徊する巨人に見つかったら殺されるという、ホラーゲーム「青鬼」のような設定で、スリル満点でした。

ミステリとしては、パズル的要素が強く、推理するのが楽しかったです。

開閉すると音がする首塚の鉄扉がよい役割をしてましたね。屋敷の迷路のようなつくりと巨人の動線が掛け合わさることで、アリバイが生まれるのがおもしろかったです。

また、血痕の謎に関しては、被験者の高い回復力という特殊設定を活かしており、うまいなあと思いました。

 

 

 

ただ、謎解きをしていく上で、腑に落ちない点が1つありました。

それは、雑賀の首を切断する必要性とリスクが見合っていないことです。

 

まず、必要性から考えてみましょう。

裏井が首の切断トリックを実行した理由は、剛力の嫌疑を晴らすためです。

しかし、そもそも、剛力が雑賀を殺したと思っている人はいたのでしょうか…?

隠し部屋で殺されていた雑賀の胸には、たしかに剛力のナイフが突き刺さっていました。しかし、その死体の第一発見者は、剛力自身です。

彼女が犯人であるならば、ナイフは残さないはずですし、隠し部屋の存在は誰も知らないのですから、黙っていれば死体は一生見つからなかったはずです。

つまりこの場合、剛力が犯人であると考えるよりも、何者かが剛力のナイフを使い殺人を行なったと考える方が自然です。

もちろん、剛力による凝った自作自演だと受け取られる可能性は0ではありません。ですので、裏井の工作がまったくの無意味だったとは言いませんが、剛力の嫌疑を晴らす必要性は低かったと言えるでしょう。

 

 

次に、首切断のトリックに伴うリスクを考えてみます。

このトリックは、巨人が雑賀の首を切断してくれることが前提となっています。

しかし、巨人が副区画に侵入し、雑賀の死体を発見する保証はどこにもありませんでした。つまり、完全な運頼りだったわけです。

巨人が雑賀の首を切断することなく、朝を迎えてしまえば、死体のそばに何者かの血痕と中華包丁が転がっているという不自然な状況が出来上がっていたわけです。

「仮にそうなっていたとしても、これらの工作を行ったのが誰かまでは分からないからいいんじゃないの?」と思うかもしれません。

たしかに、裏井のほか、ボスとマリアにも工作は可能でした。

しかし、それはあくまで結果論です。

裏井が工作を行った時点では、彼は自分以外の人物の状況までは分からなかったはずです。ボスとマリアにたまたまアリバイがなかったから良かったものの、裏井以外には工作が可能な人物がいなかった可能性だってあったのです。

つまり、彼にとって一連の工作は、運頼りであり、失敗すると相当のリスクがあったわけです。

 

以上のことから、裏井の行動は、リスクが高いわりには必要性が乏しかったと言えます。

(しかし、今回の犯行は、綿密に練られたものではなく、その場その場の状況をうまく利用した即興的なものだと書かれているので、ケチをつけるのはナンセンスかもしれません。結局は、3日粘ったにも関わらず謎が解けなかった私の負け惜しみです(笑))

 

 

これは余談ですが、裏井のような優男キャラって、犯人率が高い気がします(笑)

そのせいか、最近はミステリに優男キャラが出てくると真っ先に疑ってしまいます。

逆に自己中で粗野な人物を犯人にするほうが、実は新鮮だったりするかも…??

 

 

 

 

 

 

 

 

㊾ししりばの家 澤村伊智

f:id:tamasan7:20210911204116j:plain

 

 


▶あらすじ

おかしいのはこの家か、わたしかー夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた果歩は、幼馴染の平岩と再会する。家に招かれ、彼の妻や祖母と交流し癒される果歩だが、平岩邸はどこか変だった。さああという謎の音、部屋に散る砂。しかし平岩は、異常はないと断ずる。一方、平岩邸を監視する1人の男。彼は昔この家に関わったせいで、脳を砂が侵食する感覚に悩まされていた。そんなある日、比嘉琴子という女が彼の元を訪れ・・・?

 

 

(個人的な)点数 7/10

 

 

比嘉シリーズの4作目です。

 

今回は最強の霊媒師・琴子の物語。

彼女にとって、生き方を変えるきっかけになったししりばという化け物との因縁の対決が繰り広げられます。

 

本作には、琴子のほかに2人の主人公がいます。

1人目は、主婦として鬱屈した日々を送る果歩。13年ぶりに再会した幼馴染・平岩の家で、異様な光景を目にします。本作での恐怖の受け手です。

2人目は、琴子の同級生・哲也。小学生のころ、琴子と共に、幽霊屋敷でししりばに遭遇してしまったことで、普通の生活が送れなくなり引きこもりになってしまいます。

 

平岩邸の異様な光景、そこで平然と生活する一家の異常さ、隠されていたおぞましい秘密-「ぼぎわんが、来る」「ずうのめ人形」のようなねっとりした怖さはありませんが、サスペンス的な怖さがあります。

ししりばの正体や弱点をめぐる伏線回収も鮮やか。

また、今回はドラマ部分にも力がはいっており、哲也と琴子が前へ進むために、恐怖へ立ち向かうラストがアツかったです。

ホラーとドラマのバランスがよく、シリーズの中では一番好みでした。

 

 

 

 

㊽異端の祝祭 芦花公園

f:id:tamasan7:20210907231613j:plain

 

 

 


▶あらすじ

冴えない就職浪人生・島本笑美。失敗の原因は分かっている。彼女は生きている人間とそうでないものの区別がつかないのだ。ある日、笑美は何故か大手企業・モリヤ食品の青年社長に気に入られ内定を得る。だが研修で見たのは「ケエコオオ」と奇声を上げ這い回る人々だった―。一方、笑美の様子を心配した兄は心霊案件を請け負う佐々木事務所を訪れ・・・。ページを開いた瞬間、貴方はもう「取り込まれて」いる。民俗学カルトホラー!

 

 

(個人的な)点数 4/10

 

 

霊が見えてしまうことで、幼いころから孤独だった笑美は、大企業のモリヤ食品に思いがけず内定します。勤務初日に案内されたのは、体育館のような建物。そこで、行われていたのは、「兄弟」たちによる不気味な儀式。笑美はその異常さに危機感を覚える一方で、「社長」と呼ばれる謎の美少年・ヤンに惹きつけられていきます。

 

カルト、民俗学、ホラー、超能力・・・これらの要素がちょっとずつ混ざり合っており、どういう視点で読めばいいのか最後まで分かりませんでした。ホラーなのかなと思い読んでいると、「あれ?これただのカルト集団じゃない?」となるし、だからといってカルト小説として読んでいくと、超能力バトルが始まったり・・・。

「ホラーかと思えばミステリでした」というようなジャンルの転換が行われているわけでもなく、世界観が最後まで絞れませんでした。

カオスな分、得体のしれない怖さは十分感じられましたが。

ただ、儀式の内容やを言葉の言い回しを手掛かりに、ヤンたちの信仰対象を探っていく過程はおもしろかったです。

 

著者のデビュー作「ほねがらみ」を先に読んでおけば、作品の雰囲気も分かり、また違ったかもしれません。